アイグッズの失敗談
Failure Story

事業を計画通りに進められなかったり、組織が思うようにまとまらなかったり……。
人と同じく生き物である会社には、時として大きなピンチが訪れます。アイグッズも例外ではありません。
私たちはこれまでに数々の失敗を経験し、ピンチの中で学びを得ながら成長してきました。
この記事では、そんな私たちの失敗談を赤裸々にお伝えしてみたいと思います。
会社があえて失敗談を語るのは珍しいかもしれません。
でも、これからアイグッズの仲間になってくれるかもしれない方々には、
キラキラした部分だけではない私たちの歴史や、そこから生まれた想いを知っていただきたいのです。
それでは、アイグッズを大きく成長させてくれた「4つの失敗談」へ——。
Failure story
失敗
01
「〇〇だろう」という憶測の
話が広がり、
社内の意思疎通が迷走
アイグッズの社員数がもうすぐ50名に達しようかという頃、それまでの小規模な組織では経験しなかった事態が起きました。
「社長や上司はこう言っているけど、本音は違うんじゃないか」「あの人とは目指す方向性が違うのではないか」——。社内で、そうした憶測や疑心暗鬼の声を聞くようになったのです。
今にしてみれば、社長をはじめとしたマネジメント陣から社員へ、経営方針や事業展望などを伝えきれていないことが原因だったと感じています。創業当初と比べて社内の階層が増えていく中、社長とマネジャー陣の間では意思疎通ができていても、社員一人ひとりにはなかなか想いが伝わっていませんでした。
これくらいの組織規模になれば、トップの想いを通訳してメンバーに伝える中間層の存在が重要となります。しかしそれまでのアイグッズでは「名ばかりの管理職を作りたくない」という理由から、組織規模に対して役職者が少ない状況でした。
加えて、各職種の専門性が進むアイグッズでは、自分が経験していない職種の人に遠慮して自由にモノが言えない空気もあったように思います。
こうした反省をもとに、2021年4月からは新たに中間層として「チーフ」の役職を設け、経営陣と現場をつなぐリーダーシップを発揮してもらっています。
また、経営方針発表会を開いて想いを伝え合うワークを実施したり、週初めの月曜朝にみんなで集まってプロジェクトの共有をしたりと、お互いがどんな気持ちで働いているのかを知る機会を増やしました。マネジメント陣も想いを詳細に伝えられるように努めています。
さらにフルオーダー事業部では業界別にチームを分け分業化を進めたり、エルターエルティ間以外にも数多くの先輩とコミュニケーションができるようチーム内のメンバーをシャッフルしてマインドの振り返りを行ったり、朝の勉強会の大幅リニューアルを行いました。
まだ完全に解決できた課題ではなく現在も鋭意取組中ではありますが、この失敗から得た教訓は今後さらに組織規模が拡大していっても生かされるはずです。経営トップとマネジャー、チーフ、そして社員一人ひとりが想いを共有し、正しく互いを理解し合うことの重要性を学びました。
Failure story
失敗
02
グッズディレクターの
仕事の難易度が高すぎて、
「新卒社員には無理」
というムードが蔓延
オリジナルグッズの企画から納品までを担う「グッズディレクター」。お客さまはもちろん、社内の各部署やグッズを製造する海外生産拠点、社内外のクリエイターなど、たくさんの人の中心に立って活躍する存在です。
一方ではディレクション次第でプロジェクト全体の成功が左右されることもあり、責任の重い仕事であるのも事実。そんな役割に、アイグッズでは新卒1年目から挑戦します。数千〜数十万というボリュームでアイテムを生産することもあり、プレッシャーは半端なものではありません。
いつしか社内では、「新卒社員がグッズディレクターを務めるのは無理なんじゃないか……」というムードが広がっていました。現場単位で見ても「一人前といえるまで平均でも2〜3年はかかってしまう」という危機感があったと思います。
このままではアイグッズの基幹事業を成長させることができません。そこで私たちはさまざまな対策を講じていきました。
まず取り組んだのは、社内に蓄積されている先輩グッズディレクターたちのノウハウや知識をクラウド上で共有し、誰もが見られるようにすること。過去に起きたトラブル事例もケーススタディとして学べるようにしました。
グッズ提案の進め方やヒアリング手法などの業務を「型化」することにも挑戦。一定のフォーマットに則って仕事を進められれば、企画を練ったり、関係者とコミュニケーションを図ったりする時間を捻出できるようになると考えたのです。
とはいえ、仕組みを作るだけでは十分ではありません。実際に仕組みを使いこなせるようにすることこそが大切です。そこで、チームの垣根を超えて自身の企画・営業における成功事例、失敗体験の共有をし、教え合う「レビュー会議」の場を活用し、実践に向けた知恵を共有しています。
こうした取り組みはグッズディレクター職以外の職種でも積極的に実施しています。そのおかげで現在では新卒社員も徐々に早い段階から成果を出せるようになってきました。最初にぶつかりがちな壁は何なのか。その壁を乗り越えていくためにはどうすればいいのか。社員各々の実体験から言語化され組織に刻まれるナレッジが、私たちをさらに成長させてくれているのです。
Failure story
失敗
03
「いったいどんな仕事をしているの?」
仕事に没頭する子どもに、
親御さんから上がる心配の声
2016年創業のまだまだ若い会社だからこそ、一人ひとりの努力が成果として見えやすいアイグッズ。「自分たちがやればやるほど、会社が変わり、社会も変わる」おもしろさに魅入られて、ついつい業務に没頭し過ぎる仕事熱心な社員が多いのも事実です。
一人が担当しているプロジェクト数が多いだけでなく、毎朝30分の勉強会のために準備をしたり、同期で自主ミーティングをしたり。メンバー同士で切磋琢磨する雰囲気もあります。
そのため、本人は納得して仕事に邁進しているものの、家族やパートナーから理解されにくい事態がたびたび起こってきました。「仕事のことを考えすぎじゃない?」「どうしてこんなに帰りが遅くなるの?」という身近な人からの声で、時として会社と家族の板挟みとなってしまうことも。退職を申し出た社員によく話を聞いてみると、家族がなかなか仕事について理解してくれないことを悩んでいたこともありました。これは本人の資質や家族の問題ではなく、きちんと情報を提供できていない会社の問題だと考えました。
そこで2020年から始まったのが「ご家族への手紙」です。2023年にはそれに20ページに渡る「親御さま向け アイグッズレポート」も加わりました。
「ご家族への手紙」は、大切なお子さま(=社員)が、会社での活躍ぶりを、同僚やマネージャーからの手紙として伝えるものです。「アイグッズレポート」は、どのような会社で働いているのか、いま社が力を入れていることや課題、現在の経営状況から未来予想まで、赤裸々に綴った20ページを超える冊子として制作しています。
これらは毎年始に、前の年にアイグッズが制作したたくさんの自社製品とともに、大きな箱に詰めて届けられます。眼の前に実際にモノがあると、それに触発されて、仕事に関する会話が弾むようになったと話す社員も多くいます。「こんなにがんばっていたんだね」「仕事楽しそうだね」と、家族間でのコミュニケーションも増えているそうです。マイナス要因による離職率も激減しました。
見えなかったものが見えるようになると、周囲の人々の安心感はグッと増します。クライアントと同じくらい、いえ、それ以上の愛を社員に注ぐことが、アイグッズの仕事の方法だと改めて再確認した出来事です。
Failure story
失敗
04
コロナ禍で業績最高潮!
その陰でヒタヒタと蓄積していた
社員の疲労が限界に
2020年にアイグッズは、前年度の600%を超える売上を叩き出しました。その要因は“コロナ禍”。状況を真っ先に予見し、コロナ対策グッズの生産に乗り出したことによる特需でした。
来る日も来る日も鳴り止まない電話を取り、刻一刻と変わる状況に対応し、コロナ対策グッズ専用サイト「コロタツ」を立ち上げ…。自分たち自身の感染対策にも取り組みながら、爆発的な量の未知のモノづくりに取り組む社員たちは、知らずしらずのうちに心身をすり減らしながら働いていたと思います。
会社が異常をきたし始めたのは、最も忙しい時期を過ぎて少し落ち着いた頃でした。丁寧に育てたかった新入社員を指導する余裕がなくなる、メンバー間の連携がおろそかになる、意味もなく泣けてくる、自分が成長できているのか確信が持てなくなる…。一度にきしみが噴出し、社内には「ここで長く働く未来が見えない」という雰囲気が充満してしまいました。
これを機会に、いくつかの新しい仕組みを導入することになりました。
まず一つめは「リーダー合宿の開催」です。リーダーの絆を強固にし、「アイグッズとして改めて大切にしたいことは何か」「どういう会社を創っていきたいか」を擦り合わせることを目的としていますが、もう一つの効能は「いったん自分の思いを外に出す」こと。2日間の合宿の間に、それぞれが思っていることをテーブルの上に並べた上で、自分たちが何を選ぶかを腹落ちさせる場となっています。
二つめは「部門やチーム体制の整理」です。それまで全員があらゆるグッズを制作できるジェネラルなグッズディレクターを目指していましたが、「化粧品」「スポーツ・キャラクター」「飲食・エンタメ」の業界別のチームを構築することで、より専門性高く、ノウハウの蓄積ができる体制を整えました。部門をつくることで、チームで助け合いながら働いている意識が強まりました。
チームで働く体制に関しては、特に大きなお客さまに関しては2名体制で対応することに。一人が休んだとしてもクオリティ落とすことなく価値を提供でき、安心して案件を進められるようになりました。
最後に行ったのが、「人事成長制度のリニューアル」です。グレード0の研修生からグレード8のゼネラルマネージャーまで細かく分類し、主な責任範囲を明らかにし、求められる能力や実績を言語化しました。これにより、まだ若い会社だからこそ不透明になりがちな「アイグッズでの自分の目指す姿」が明確に。さらに、最も肝心である「自分の理想とする社会人像をここでなら達成できる」という本人の期待感を生み出すことにもつながりました。この制度は自身の到達点の指針と同時に、人事評価の基準ともなっています。
爆発的な売上の伸びは、当時のアイグッズの規模に見合わない急激なもので、大きな成長痛を伴いました。しかしなんとかそれを自分たちの仕事として乗りこなしたいという社員たちの強い意志が、組織をさらにブラッシュアップさせ、大きくすることにつながりました。